君島和彦教授の指導要領解説書批判 (半)

 
 2008.7.27
 
  半月城です。
 
  竹島=独島問題を日韓歴史共同研究委員会で取りあげることについて、東京学芸大学
の君島和彦教授が次のようにコメントを朝日新聞(2008.7.24)に寄せていました。
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  李大統領は、日中韓共通の歴史教科書の作成を検討するように指示し、韓国政府は日
韓の歴史共同研究委員会でも「竹島・独島」問題を取り扱うように働きかけるという。
  しかし、領土問題は、そのようなことで解決できることではない。研究者が「竹島・
独島」は日韓いずれかの領土だという結論を下したとして、両政府はその結論を受けいれ
るだろうか(注1)。
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  この発言は少し飛躍しているようです。委員会は「歴史共同研究」が目的なので、歴
史から逸脱する国際法がらみの「領土問題」は対象外です。したがって、委員会は「竹
島・独島は日韓いずれかの領土だと結論」を出す必要はありません。
  もちろん、君島教授は「領土問題は政府間で決着をつけるべきである」と書いている
ので、委員会の役割をよく把握していることと思います。
 
  それにもかかわらず、君島氏があえてそのように書くのは、今回、日本政府が「学習
指導要領解説書」で新たな歴史問題を引きおこし、しかも、同氏の言葉を借りれば「政治
的・外交的に解決できない問題を、教育の場に押しつけた」ことに対する憤りに起因する
ようです。
  もっともな話です。君島氏は日本政府が問題を引きおこしたことをこう批判しました。
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  解説書によれば事実上、「竹島は日本の固有の領土」と教えることになる。このこと
が「竹島・独島」を実効支配している韓国から強い反発を受けることはわかっていた。近
くは北海道洞爺湖サミットでも、李大統領は福田首相に解説書への記述をしないように求
めていた。
  日韓関係の悪化に対して渡海文部科学省も町村官房長官も、外交関係では韓国政府に
「大人の関係」を求めていくと述べている。しかし、「大人の関係」は解説書を公表する
前に対処すべきであって、公表してからでは、日本側の主張を認めなさいという一方的な
押しつけでしかない。これでは「未来志向の関係」は築けない。
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  竹島=独島を日本の固有領土として教えることを示唆した解説書を公表しておいて
「大人の関係」を求める日本政府は韓国の心情を充分理解していないようです。
  かつて、潘基文・国連事務総長が外務部長官を務めていた時に「独島問題は日韓関係
よりも上位概念」と述べましたが、韓国では老若男女、与野、官民を問わず、日帝の侵略
の象徴とみなす独島問題で、日本政府が「日本の固有領土」などと史実に反するクレーム
をつけようものなら黙って見過ごすわけにはいきません。
  日韓協力や交流を見捨ててでも抗議の意思表示をするのは当然の成りゆきでした。し
かし、韓国は抗議ばかりでなく、問題解決に向けて日本に対して竹島=独島問題を日韓歴
史共同研究委員会で取りあげるよう提案しました。もし、これを日本が拒否したら、解決
への糸口は完全に断たれることでしょう。
  委員会で実際に取りあげるかどうかは委員が決めることなので、日本側委員が大変な
重圧に感じるようであれば、提案は生かされないかも知れません。
 
 
(注1)「竹島問題, 教育の場に押しつけるな」朝日新聞 2008.7.24
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  • 最終更新:2009-02-10 08:33:57

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