国際司法裁判所に提訴すると「日韓条約」違反になる

2008年07月16日
 
■竹島(独島)問題を国際司法裁判所に提訴すると「日韓条約」違反になる


最近このニュースが気になっています。

   毎日新聞 2008年7月15日

   新学習指導要領:「竹島」問題の中学校解説書記載 韓国、大使を召還


   両国民のナショナリズムを適度に煽ることで、改憲論を有利にしようとする思惑を感じます。

 
 
今回はこのニュースに関し、伊吹文明幹事長が誤った主張しているので批判することにしました。

【竹島問題】伊吹幹事長「国際司法裁判所で解決を」2008年7月15日付 産経新聞より

    •  自民党の伊吹文明幹事長は15日午前の記者会見で、中学社会科の新学習指導要領解説書の竹島に関する記述に韓国が反発していることについて「事実関係を淡々と書いており、韓国にもそのことをよく説明しなければならない」と述べ、韓国側に冷静な対応を求めた。
    •  その上で伊吹氏は「(竹島の領有権を明らかにするため)国際司法裁判所に提訴し、ここで解決するのが国際的なルールだ」と語り、提訴に応じない韓国側を暗に批判した。



伊吹幹事長は「国際司法裁判所に提訴」することが「国際的なルールだ」と述べていますが、1965年に締結された「日韓条約」によって両国間の紛争は外交努力や調停で解決することに決められています(下記)。国際ルールを無視しているのは伊吹幹事長の発言の方です。


 
日韓基本条約の関係諸協定,日韓紛争解決交換公文(紛争の解決に関する交換公文)より

    •  両国政府は,別段の合意がある場合を除くほか,両国間の紛争は,まず,外交上の経路を通じて解決するものとし,これにより解決することができなかつた場合は,両国政府が合意する手続に従い,調停によつて解決を図るものとする。


 
上記のプロセスを無視して「国際司法裁判所」を話に持ち出すのは筋道が違います。そもそも国際司法裁判所で争うには両国の合意が必要ですが、韓国側に応じなければならない理由はなく、日本側が提訴すること自体が両国間の紛争は外交努力や調停で解決すると定めている「日韓条約」に違反します。
 


このことは竹島(独島)問題の研究者・朴炳渉氏も下記で指摘していることです。



外務省「竹島」パンフ批判(10)、国際司法裁判所



    •  このように、外交交渉で解決できない問題は「調停」によって解決をはかることが定められており、ICJは論外でした。

ICJ=国際司法裁判所。国際司法裁判所で争うことと「調停」は違います。



また、産経新聞は「提訴に応じない韓国側を暗に批判した」と締めくくっていますが、これは"韓国政府が国際法廷で争うことを一方的に拒否している"→"韓国は卑怯"という印象操作であり、事実に反します。日本政府が、韓国側に国際司法裁判所への提訴・付託を提案したのは1954年9月と1962年3月の2回のみで、それ以降の約半世紀の間に日本政府は何の動きも見せていません。だから国際法廷に持ち込む気がないのは日本政府も同じなのです。これは「竹島は日本領土」と主張する研究者・下條正男氏も認めています(下記参照)。



国際司法裁判所による解決に反対、下條氏





それから日本政府が国際司法裁判所の提訴を過去に提案したことばかりが取り上げられていますが、韓国政府も日本政府に対して第三国による調停を提案したことがあります。



高橋宗司『検証 日韓会談』p150より


    •  この間、竹島問題は国交正常化問題とは別に扱われたが、日本側は「竹島問題の解決なくして国交正常化はありえない」という立場であった。(62年4月27日の衆議院外務委員会における小坂外相の答弁)一方、韓国側の立場は、独島問題は国交正常化後に話し合おうというものであった(62年11月13日の金鍾泌の記者会見のおける発言)。同年11月12日の大平外相・金鍾泌中央情報部部長会談では、大平が国際司法裁判所への提訴を提案したのに対して、金が第三国の調停に委ねることを提案して対立した。また、同年12月に韓国を訪問した自民党の大野副総裁が金鍾泌会って、竹島の共同所有を打診したが、まとまらなかった。



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産経新聞は韓国政府が調停を提案したことには触れようとせず、日本政府が国際司法裁判所の提訴を提案したことばかりを強調しています。それによって不用意に日本人のナショナリズムを扇動し政府の都合のいい方向に世論を操作しようとしています。

  • 最終更新:2009-02-08 06:31:49

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