日本と韓国の思想(その10)歴史教育

2008/12/31 07:15



韓国の歴史教科書は、通信使が日本に与えた影響について、次のように述べています。


「日本は通信使の一行を通して、先進学問と技術を学ぼうと懸命であった。したがって、通信使は外交使節としてだけでなく、朝鮮の先進文化を日本に伝播する役割も果たした。」


そのように多くの韓国人が信じているので、日本人は時々吃驚します。駐日大使を務めたことのある知識人でさえも、「江戸時代に朝鮮通信使が先進文化や技術を日本に教えてあげた。それが明治以降の日本の発展の基礎となった」と講演中に述べ、聴衆を唖然とさせたことがあります。


1719年に来日した通信使の申維翰が著した『海游録』を読むと「朝鮮の文化や技術を日本に教えた」というような事実は読み取れません。詳しくは後述しますが、申維翰は儒教や儒教的秩序や漢詩の水準が朝鮮に比べて劣っていると記述しながらも、日本の経済力と技術力の高さには舌を巻いています。


青少年が自国を誇らしく思うように歴史を教えるのでなく、何よりも正確に事実を教えることが重要ではないでしょうか。

そのことが、歴史から学んで将来の自国の繁栄と国際平和を担いうる有為な人材の育成につながることを、韓国は自覚しなければならないと思う次第です。


日本も上記のことを自覚し、いわゆる「自虐史観」でなく、だからと言って「自尊史観」でもない、難しいけれど「バランス感覚のある公正な史観」を国民が共有化できるよう努力することが大切ではないでしょうか。


次回から、『海游録』の描写を抜粋して、具体的に日韓の考え方の違いについて考えて行きます。


皆様が良いお年をお迎えくださいますようお祈りいたします。

  • 最終更新:2009-02-10 16:34:49

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