日本政府は個人補償を主張したという嘘

2006年05月18日
 
■日本政府は個人補償を主張したという嘘
 
 
マンガ嫌韓流は、日本政府が個人補償を申し出たのに対し、韓国政府がそれを妨げたせいで個人補償がなされなかったと主張しています。


<山野車輪『マンガ嫌韓流』P.55>


 
 

基礎知識…日韓条約と戦後補償について



1951-65年の足かけ15年(第一次~第七次会談)にも渡る日韓交渉の末、1965年6月22日に日本と韓国の国交正常化を目的として締結された条約。
 
    日韓基本条約
    日韓請求権並びに経済協力協定
    漁業協定
    在日韓国人の法的地位協定
    文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定
以上、東京大学東洋文化研究所田中明彦研究室『戦後日本政治・国際関係データベース』のコンテンツにリンクしています。
 
この基本条約と4つの協定を総称して、「日韓条約」と呼ばれる。



日本政府は韓国に無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドルの経済協力を実施するかわりに、補償請求を放棄させた。



その後、韓国政府は、「対日民間請求権申告法」(1971)及び「対日民間請求権補償法」(1974)により、徴兵・徴用による1945年8月15日以前の死亡者の遺族に補償を行なった。しかし、負傷者・生存者、在日韓国・朝鮮人、在韓被爆者、サハリン残留者、元「慰安婦」などは補償の対象外とされた。



未払い賃金補償と被害補償の違い



第五次会談で、韓国側が徴用者名簿を明らかにすることを条件に未払い賃金を個人ベースで支払いに応じると日本政府が述べたことは事実です。



しかしそれを根拠に日本政府が個人補償を主張したというのは無理があります。



日本政府が「個人ベースで支払う」と述べたのは、あくまで徴用者の未払い賃金の補償であって、韓国側がさらに求めていた、徴用者の精神的・肉体的苦痛に対する被害の補償ではありませんでした。日本政府が徴用者の被害補償の要求に応じると述べたことは、国家ベースにしても個人ベースにしても一度もないのです。


 
 

(太田修*1「第2話 『補償問題』は解決したのか?」「『マンガ嫌韓流』のここがデタラメ」P.37)


張勉政権と池田勇人政権のもと、1961年4月から5月にかけておこなわれた第5次日韓交渉の事務レベル会議において、たしかに日本側は、戦争による被徴用者の「未払い金」について、被徴用者の名簿、負傷及び死亡の「原因」、「程度」など事実関係を明らかにする必要があり、その事実関係に基づき「日本の援護法を援用し個人ベースで支払」うと述べた。

(中略)

それに対し韓国側は、被徴用者は「強制的に動員された」という前提のもと、韓国人徴用者の「生存者、負傷者、死亡者、行方不明者、そして軍人、軍属を含めた被徴用者全般に対して補償を要求」すること、ただし個人補償を「国として請求」し、「個人に対しては国内で措置する」ことを明らかにし、日本側と対立したのである。






実現不可能な条件



日本政府は、未払い賃金を個人ベースで支払う条件として、韓国側が徴用者名簿を提示することを求めました。日本政府は、韓国側がそれを提示するのが困難であることを知っていたはずです。



その名簿を所持しているのは、あくまでも徴用した側の日本政府の方だったからです。日本政府が徴用者名簿を所持していたことは、以下の資料からもわかります。


 

労働者強制連行名簿調査

1991年3月5日、労働省は約9万人の朝鮮人強制連行者名簿(いわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿)の写しを、外務省を通して韓国政府に提出した。名簿は90年8月に政府が発表した

7万9578人に、新たに発見された約1万1226人分を加えた計9万804人分。

日本への朝鮮人強制連行者数は100万とも150万ともいわれるが、

終戦直後にアメリカ戦略爆撃調査団がまとめた連行者数66万7684人と

比べても、今回の約9万人はその13%にすぎない。

(「ハンドブック戦後補償」P.32)



個人補償を妨げたのは日本政府



そして『マンガ嫌韓流』の「日本が個人補償を主張した」論の決定的な間違いは、第6次交渉で双方の要求が大きく転換したことを無視している点にあります。

今度は韓国政府が、個人補償を主張し、それに対して日本政府は、個人補償の請求を拒んだのです。

 

(「ハンドブック戦後補償」)

 
しかし、1961年12月、朴正熙軍事政権のもとで行われた第6次交渉の事務レベル会議において双方の方針は大きく転換した。韓国側は、それまで要求していた「請求権要綱韓国側案(8項目要求)」の第1項から第5項までは「国として請求」するが、第1項から第5項に含まれないものは、韓日交渉成立後でもこれを個別的に行使できるようにしたいと述べ、第5次交渉での方針を修正した。

それに対して日本側も、個人請求権は個別に処理するという第5次交渉での立場を翻し、「請求権一切がこの交渉で解決」されなければならないと主張した。つまり日本側は、後日、韓国人が個別に補償要求を行ってくることを恐れて、すべての個人請求権を日韓交渉で処理すべきだと主張したのである。




 
 


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  • 最終更新:2009-02-08 15:12:37

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